« 市原ひかり in STAR EYES | トップページ | 驚くほどよく飛ぶ紙飛行機 »

2006/12/02

ボイル生食用の謎

前回までのあらすじ
しほたつが煮物を作ろうとして
スーパーで買った「ベビーホタテ(ボイル)」に
「生食用」のシールが貼られていた。
ボイルで生食?
相矛盾する様な表示に疑問を感じたしほたつは
「何でボイルで生食用やねん調査委員会」
を設立したのである。

------------------ 8< ------------------ 
  
…って、事でココから先は法律にはズブの素人の私が
専門家の卵の意見、文献、インターネットを駆使して
何とか導き出した結論であります。
間違っていたらすみません。

結論から云うと、ボイルなのに生食は法律上正しい。

まずは食品表示を取り仕切る法律には
大きく3つがあります。
1)食品衛生法
2)農林物資の規格化及び
  品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
3)不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

そしてそれぞれに目的があります。
食品衛生法は「飲食による衛生上の危害発生の防止」、
JAS法は「品質に関する適正な表示」、
景品表示法は「虚偽、誇大な表示の禁止」です。

で、「生食用」の表示に関してなんですけど、
これを規定しているのは食品衛生法の様です。
腸炎ビブリオ対策として、平成13~14年に
鮮魚介類等の規格基準が設けられました。
「生かき」と「切り身又はむき身にした鮮魚介類」には
生食用かどうかの旨を表示しなければならないのだそうです。

ここで気になる点が2点
1)ボイルほたては「切り身又はむき身にした魚介類」なのか?
2)生食とは何ぞや?

まず、1)の件ですが…、
実際に食品衛生法に基づく指導が過去に出ています。
何と昭和38年の古い指導内容です。

------------------ 8< ------------------
生食用魚介類の取扱いの指導について(昭和38年7月30日環発第312号)
(厚生省環境衛生局長から各都道府県知事・各指定都市市長宛通知)

魚介類関係施設の衛生対策強化については、さきに昭和34年12月3日衛発第1203号「魚介類関係施設の衛生対策について」並びに同日付け衛発第1024号「魚介類販売業店舗の衛生改善について」により通達し、これに基づいて、その施設の改善等著しい効果を挙げているが、未だその取扱いについては遺憾の点も多いので、特に生食用魚介類について、別記により指導の徹底をはかられたく通知する。なお、本要領に基づく行政指導の効果によっては、食品衛生法第7条に基づく規格基準の制定を考慮するものである。

生食用魚介類指導要領

1 目的生食用魚介類の取扱いの指導要領を定め、衛生上の万全を期するである。

2 対象
イ この要領で生食用魚介類とは、一般に摂食者が加熱せず、そのまま摂取することが通常の用途である。魚介類及びその加工品、まぐろ、かつお、いか、たこ、貝及び貝柱等の鮮魚介類のみららず、ゆでいか、むきみ貝、ゆで貝、ゆでかに、生節、生しらす等を含むものである。なお、これらを材料として調理された、刺身、すし、酢のもの、和えもの等についても、準用するものである。
ロ 指導対象としての場所は、魚介類市場、仲売店舗、加工場、小売店舗等であり、対象業者としては、魚介類せり売業者、仲買業者、魚介類販売業者、製造加工業者、および一部の飲食店営業者である。製造加工業者としては、むき身業者、ゆで貝、ゆでたこ、ゆでいか、ゆでかに、ゆでえび等の製造加工業者、生節の製造業者、生しらすの製造業者であり、一部の飲食店営業者とは、すし屋及び刺身等を作る料理店である。
(以下、略)
------------------ 8< ------------------
はっきりと「ゆで貝」の記載があります。
確かにボイルしても細菌が死滅するとは限りませんし、
0℃以下に冷凍しても生き残る微生物はいますからね。

ゆえに「ボイルほたて」に「生食用」のシールが貼られているのは
食品衛生法に準拠した正しい対応となる訳です。

って事で当初の疑問は解決した訳なんですが…、
疑問2)の「生食とは何ぞや?」について。

これも上の「生食用魚介類の取扱いの指導について」に
「生食用魚介類とは、一般に摂食者が加熱せず、
そのまま摂取することが通常の用途である」魚介類及びその加工品
と書かれております。
しかし、個人的な意見として書かせていただくと、
生食には
1)買ってきてから食べるまでに加熱調理しない。
2)製造段階から人の口に入るまで一切の加熱がない。
の2つの意味合いがある様に思えます。
食品衛生法は食の安全の観点から
1)の意味合いで指導してる様ですが、
一般的には2)なんじゃないですか?
だから「生食用」のシールが貼られていたら、
消費者は「新鮮ですよ!」って風に受け止めるし、
販売店側もそう云うアピールをしてる様に思えるんですね。
だって、金色のシールでバーンと「生食用」ですもん。

Namashoku_hyouzi_1
絶対に目立とうとしてますって。
これがあんまり書きたくない表示項目だったら

Kaitou_hyozi
こんなシールとか

Sanchi_hyozi
こんなシールは作らないと思う。

法律上では正しくても、一般常識との乖離がある様な気がします。
ボイルして、冷凍解凍した加工品が
生鮮品の擬態をしてる様に思えて仕方ありません。

ちなみにJAS法では生鮮食品と加工食品の線引きをしようとしてます。
その境界線で苦慮してる様ですが。下記引用。

------------------ 8< ------------------
JAS法は全ての生鮮魚介類、冷凍魚介類を対象としています。
しかし、魚介類であっても生鮮食品扱いにならないものもあります。
(中略)
中には生鮮食品なのか、加工食品なのか、判断しにくいケースもあります。
生鮮食品品質表示基準Q&Aでは、次のように、それぞれ判断しています。

●生鮮食品と判断するもの
・身を取り出し、開き、内臓を除いた上で、冷凍した赤身のむき身。
・あじのたたき
・一種理の魚のカマや身アラの詰め合わせ。複数の部位の組み合わせであっても、同じ種類の魚を詰め合わせたものは、生鮮食品になります。

●加工食品と判断するもの
・尾部および殻だけを短時間で加熱(ブランチング)し、赤色に変化させた大正えび。短時間でも加熱すると加工食品です。
・ブランチングし、殻だけを開けて身を取り出したアサリ。身を取り出すためであっても、加熱すれば加工食品です。
・鍋セット。魚、食肉、野菜などを組み合わせた食品は加工食品です。
・蒸しダコ。蒸すと加工食品になります。
・塩蔵わかめを塩抜きしたもの。塩蔵したわかめ、乾燥わかめは加工食品であり、塩抜きしても加工食品です。

【出展】
いのちを守る食品表示 食品表示の読みかた《基礎編》
社団法人日本セルフ・サービス協会
------------------ 8< ------------------

包丁を入れただけだと生鮮、ボイルすると加工食品。
でも「一種類の魚のアラの詰め合わせ」は生鮮食品ですが、
「複数の魚のアラの詰め合わせ」は加工食品になるんですね。
難しいなぁ…。

って事で最後は蛇足になりましたが、レポート終わります。
凄く時間がかかったんだけど、
あんまり読んでもらえそうにないなー。

|

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ボイル生食用の謎:

コメント

■しほたつさん

 すんげー詳しいご報告ありがとう。
 ちゃんと読ませていただきました、数度。
(ややこしくて一度じゃ把握できない)
 シールをこしらえるなんて、すげしほさんらしい(爆)
 
 なるほどーーー。
 なんとなく漠然とは理解していた(だろう)けど、
 こうしてちゃんと分かって納得しました。

》「複数の魚のアラの詰め合わせ」は加工食品になるんですね。

 これね・・
 タイのあらをブリのあらで味付けしてる、、って感じなのかしら(爆)
 むしろ、あじのたたきが生鮮食品に入ってるのがよくわからん。(笑)

投稿: ゆきを | 2006/12/07 20:53

■ゆきをさん

>タイのあらをブリのあらで味付けしてる、、って感じなのかしら(爆)

アラって刺身を取ったあとの残り身とかの事ですよね?
だからタイの生身とブリの生身のアラが
詰めあわされてる状態だと思います。
タイだけだと生鮮でタイ+ブリだと加工品になるのが
不思議だなぁと思った次第です。

>むしろ、あじのたたきが生鮮食品に入ってるのがよくわからん。(笑)

鍋セットで「アジ、ネギ、生姜」が入ってたら加工品
(アジ鍋なんてモノはないかもしれないけど)、
「アジ、ネギ、生姜」でタタキを作ったら生鮮品。
ふ、不思議だ…。

投稿: しほたつ | 2006/12/09 15:49

■しほさん

》「アジ、ネギ、生姜」でタタキを作ったら生鮮品。
》ふ、不思議だ…。

 今ふと思ったんですけど、
 ふつーのお刺身って、ツマが付いてるじゃないですか。
 で、アジのたたきの「ねぎ・生姜」も
 「ツマ」っていう位置づけなのかもですね。
 ツマを上においてるだけだよーん。っていう。

投稿: ゆきを | 2006/12/09 16:07

コメントを書く