どバップを聴いてみる。 その2
この企画で取り上げているLPは
下記の2つの条件を満たしたモノです。
----------- 8< -----------
1)「名演!MODERN JAZZ」って本に載っている。
2)実家のレコード棚にある。
----------- 8< -----------
つまりはレコード選びに今の私の好みや意思は
反映されないと云う狙いであります。
そもそもこの本は昭和62年に出た古い本です。
FM東京セレクト・ジャズ・ワークショップって番組が行なった
玉石混交の聴取者からのリクエスト結果に基づいています。
ただこれがクセモノ。
テレビの全国ラーメンランキングと同じで、
全ての店で食べた人の厳正なる評価ではなく、
2~3軒しか知らない人の意見なんかも反映してしまう。
その結果、有名店や東京の店が上位を占めるなど、
出来上がったランキングには大した意味がない。
この本にも同じことが云えると思います。
並んでいるは有名盤、有名曲、ビッグネーム。
確かに3ヶ月に渡って生の声を集めたのは凄いけど、
この本が旗印に掲げている
「ジャズに名曲なし、名演あるのみ」って
崇高なる意図を反映してるとはとても思えません。
むしろ逆に有名曲ランキングになってます。
ま、20年も前の本にいちゃもんをつけても仕方ないですね。
敢えてそんな本を指標にしてレコードを取り上げてる時点で
私に悪意があるのはみえみえです(笑)。
って事で、第二回目を始めます。

■CONCIERTO/JIM HALL(CTI)
失礼ながらチンケなアルバムだと思うんですが、
どうしてこれが人気あるんでしょう?
「名演!MODERN JAZZ」ではどう云う褒め方をしてるのか、
少し引用しています。
----------- 8< -----------
(前略)ジュフリー・スリーでの経験が、七五年に録音された
「アランフェス協奏曲」にも、見事に生きている。
ギターのために書かれた曲を演奏しているにもかかわらず、
ここで聴かれるソロは、大向こう受けするようなものにはなっていない。
演奏時間にして三分四十秒からジム・ホールが聞かせるのは、
彼の内なる肉声である。
その肉声は、吶々とした語り口、独特のウォーム・トーンとあいまって、
聞き手に対する親密な語りかけになっている。
そして、アルト・サックスを吹くポール・デスモンドの、
白人でありながら、ブルージーな孤独感あふれるソロ。
このディスクは、自らの内なる声を伝えることを尊んだ
ミュージシャンによる優れた"協奏"として記憶されるべき一枚である。
----------- 8< -----------
うーん。云ってる事がわからない…。
何一つ共感できないです。
クラシックを題材にしたジャズのアルバムは
結構鬼門の作品が多いですが、これはその代表作の一つ。
なぜ"アランフェス協奏曲"をアレンジにして、
のぺーっとした展開の中で緩いソロを延々と続けるのか…?
ギターは苦手だし、CTIレーベルは趣味に合わないし、
全く耳に合わず、嫌悪感すら覚えます。
初めて聴いた当時から今に至るまで、
苦手なアルバムの上位5位に入る作品です。

■THELONIOUS HIMSELF/THELONIOUS MONK(RIVERSIDE)
セロニアスモンクのソロアルバムはヴォーグやCBSや
RIVERSIDEにありますが、どれも面白いです。
個人的にはCBSの「SOLO MONK」が一番好きですけど、
この「THELONIOUS HIMSELF」も同じクォリティ。
HIMSELFと云いつつ、オリジナル曲は"'ROUND MIDNIGHT"だけなので、
このHIMSELFは「自らの内なる声」と云う事なのでしょう(笑)。
「吶々とした語り口」もモンクにぴったりの形容ですしねー。

■IN CONCERT/MAX ROACH&CLIFFORD BROWN(GNP)
ブラウンローチと云えばエマーシーの諸作ばっかり聴いてて、
このアルバムはあんまり聴いていませんでした。
今更ながら、クリフォードブラウンは無茶苦茶いい。
アドリブを聴いて、初めて「凄い。」と思ったのがブラウニーでした。
瞬間で生み出された音とは思えないクォリティ。
音の粒立ちの綺麗さと張りのある音色。
トランペットは未だに彼を越える人を知りません。
録音も思い込んでいたほど悪くないし、めっけもんでした。

■RETURN TO FOREVER/CHICK COREA(ECM)
今聴くと古臭さを感じるだろうと思いつつ、針を降ろしてみたら、
全く色褪せていませんでした。ちょっとびっくり。
「どバップを聴いてみる。」って企画で取り上げるLPではないけど、
今よりも遙かにどバップ率の高かった当時、
これだけのクォリティで新しい音楽を聴かされたら、
どう対処するか難しかったでしょうね。
ありていのフュージョンやクロスオーヴァーは否定できても
ここまで優れた内容だったら認めるしかないでしょう。
"What Game Shall We Play Today?"もいい曲だなぁ…。

■NOW'S THE TIME/CHARLIE PARKER(VERVE)
パーカーは齧った程度なので、いい加減な事を書くと、
全日本パーカー連合西日本支部からクレームが来そうなので構えてしまいます。
パーカーは個人的に好きです。
コレクターとか研究家の様な分析的な聴き方はできませんが、
音の速射砲の中に浸る事がただ単に気持ちいいのです。
中でも録音のいいこのアルバムはよく聴きました。
今でも時々聴きたくなりますし、CDでも買い直しました。
今回、LPで聴いてみて、気付いたのはB面ばっかり聴いてたんだって事。
"CHI-CHI"×3~"I REMEMBER YOU"~"NOW'S THE TIME"~"CONFIRMATION"
と続く最強コンボに打ちのめされたいからB面をかける。
今、A面を聴いてみると、全然耳なじみがない(笑)。
逆に新譜を聴いてるように新鮮だったりする。
1952年録音だと云うのに古さは意外とありません。
だから、今でもパーカー信者が多いのは私は理解できます。
でもパーカーっぽい演奏を今も演ってるのはどうかと思います。

■SPIRITUAL UNITY/ALBERT AYLER(ESP)
「どバップを聴いてみる。」って企画からは逸れますが、
「名演!MODERN JAZZ」に紹介されてるので書く事にします。
アルバートアイラーはフリーでドシャメシャではありますが、
サックスの音色が肉声に近い事もあって、
咆哮してもヒステリックには聴こえず、有機的な温かみを感じます。
評価の高い"GOAST"などはテーマが牧歌的な長調のメロディラインなので
演奏全体も明るい色調を持っています。
聴き手を遠ざける様なフリージャズとは違った魅力がありますね。
だからと云って、いつでも針を落として聴けるかと云うと、
それはちょっと…、って感じですけど(笑)。
続けてオーネットコールマンを取り上げようと思ったら、
彼のLPは名古屋のマンションに全部持って行ってました。

■KIND OF BLUE/MILES DAVIS(CBS)
マイルスの歴史的名盤です。
カッコイイのは間違いない。
「名演!MODERN JAZZ」の解説を引用してみます。
----------- 8< -----------
「カインド・オブ・ブルー」で、ジャズは亡んでしまっても構わなかった。
種としての人類の暗い記憶がこの上なく"クール"に見えてしまう、
そんな時間軸を越えた厳粛な体験を聞くたびに味わうことになるほどの演奏だ。
(後略)
----------- 8< -----------
明らかに自分の文章に酔ってます(笑)。
この中途半端なモードでジャズが亡んではいけないでしょう。
それにしてもここでもキャノンボールは浮いてしまってます。
マイルス界に於いてキャノンボールの立ち位置の何と低い事か…。
長くなったので今回はここまで。
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