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2008/09/02

モテる男の条件

一見栄 二男 三金 四芸
五精 六おぼこ 七科白
八力 九肝 十評判

これは古典落語「稽古屋」の冒頭で出てくるモテる男の条件。
「一見栄(いちみえ)」はファッションセンス、「二男(におとこ)」はルックス、
「三金(さんかね)」「四芸(しげい)」はそのままですね。
「五精(ごせい)」は精力ではなく精を出して働く姿、
「六おぼこ(ろくおぼこ)」はかわいいと年増にもてるって意味で、
「七科白(ひちぜりふ)」は他人を説得できる話術を持ってるかどうか。
「八力(やぢから)」は強くて、「九肝(きゅうきも)」は度胸があり、
「十評判(とひょうばん)」はまわりの評価が高けりゃおのずと…、って事です。

何だか今とそんなに変わらない気がしますね。
全部備わっていなくてもどれか一つでもあればモテるらしい。
と云う事はモテない男は何一つあかんって訳ですか…。


さて、この「稽古屋」、音曲モノと云われる上方らしい噺ですが、
粗筋は実に単純。
喜六がモテ目的で稽古屋に唄と踊りを習いに行って、
案の定しっちゃかめっちゃかやらかしてしまうってだけの展開。

でも、実際の見せ場は喜六のドタバタシーンではないんですよね。
稽古屋の粋な女のお師匠はんが近所の子供たちに
娘道成寺をレクチャーする場面が秀逸。
三味線に合わせて踊る生徒を演じるのではなく、
それを見守るお師匠はんの仕草を演じているのがいい。

稽古屋と云えばやっぱり桂文枝。
あのはんなりとした味は文枝の真骨頂ですね。


でも、この落語サゲはちょっとわかりにくいなぁ。
私は初めて聴いた時、ちんぷんかんぷんでした。

男が単刀直入に「モテる為の稽古をして欲しい。」と云うと、
お師匠はんは「そんな稽古はしません。」と答えます。
男が理由を尋ねたところ、お師匠はん曰く、
「昔から云いますやろ。色は指南のほか、ですがな。」

おわかりになりますか?
諺の「色は思案の外」の駄洒落なんだそうです。
その諺を知らなかったらアウトです。


実はこの噺のサゲにはもう一つあって、
今じゃそっちの方がわかりやすいかも。

男の唄があまりに下手なので、
お師匠はんは地唄の「すり鉢」を宿題に出します。

海山を越えてこの世に住み慣れて 
  比翼連理と契りし仲を けむりをたつる賤の女が…

男は家の二階の物干しに上がって練習します。
大声で「煙が~立つ。煙が~立つ。」と、そこばっかり繰り返すので、
下を通った友達が火事と勘違いする。
「煙はどこや。近いんか、遠いんか?」と尋ねられ「海山越えて~。」。
「そんなに遠かったら大丈夫やわ。」

桂文枝のCDを聴くと、1975年の音源が指南ヴァージョンで、
1980年と1982年が煙ヴァージョンでした。

Kc350085

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