代書屋フルヴァージョン
「代書(屋)」は四代目桂米団治が作った昭和の初めの頃の落語です。
字の書けない男が代書屋にやってきて、履歴書を書いてもらうんですが、
この男、桁外れのアホなので、最初から最後までボケ倒しです。
最初はおさまり返っていた代書屋も次第次第に感情的になってくる。
そのやりとりが無茶苦茶面白い。
これまで桂春團治と桂枝雀のモノがDVDやCDなどで出ていましたので、
それを幾度となく見聞きしておりました。
でも、二人の「代書(屋)」にはサゲがなく、
「アホがわーわー云うてます。お馴染みの代書屋と云うお笑いで…。」
と、同じような〆方をしてるんですよね。
こう云う終わり方をする場合、大抵、途中で止めてる事が多いんですが、
やっぱりこの続きがあったんですねー。
この度、五代目桂米団治を襲名するに辺り、
桂小米朝がフルヴァージョンを演じてます。
アホの履歴書の後に出てくるのは、
立派な身なりのご隠居さん。
歳のせいで手が震えるので
結納の受け取りを代筆して欲しいとの依頼。
ところがこのご隠居さん、注文がうるさく、
筆が悪い、墨が悪いと文句をつけた末、
字が巧くないとケチをつけて帰ってしまう。
更にその次にやってきたのが、朝鮮の人。
国の妹が日本に女工として働きに来るので
渡航証明を書いてもらいたいと云います。
カタコトの日本語が可笑しいんですけど、
恐らくこの辺りの展開が今の時代に合わず、
カットされることになったのではないかと。
最後にやってくるのはさっきのご隠居の奉公人の女性。
「失礼な事を致しました。」とお詫びに来た筈が、
結局はご隠居同様に代書屋の字にいちゃもんをつける始末。
小米朝の「代書」はまだちょっと騒々し過ぎる感じですけど、
これから看板のネタとして熟成していくに違いありません。
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受信: 2008/10/15 11:13
コメント
youtubeで「買物ブギ」を視聴したとき、いつもNHKで
聞いている「買物ブギ」は一部がはしょられていることに
気づきました。歌詞に、ある言葉があるからでした。
どんな歌手がカバーしても、金輪際「買い物ブギ」の
フルコーラスはない、と確信した次第です。ちなみに
買い物ブギの作詞者は、国民栄誉賞を受賞してます(笑)。
深夜の1時にNHKラジオで演芸特選、と言う番組があって
落語だの浪曲だの漫才だのをやっているのですが、確か
サゲが下ネタな落語をやっていて、NHKでも下ネタは
OKなんだ、と感慨に浸ったことがあります。演目は
「かえる芝居」と言う題だったかと思います。
投稿: まんぞー | 2008/10/15 22:22
■まんぞーさん
>歌詞に、ある言葉があるからでした。
>買い物ブギの作詞者は、国民栄誉賞を受賞してます(笑)。
落語の世界では普通に出てきますよ。
米朝全集を聴いてると、めくら、つんぼ、せむしなどがそのままCD化されてます。
その時代の価値観だったんですから、仕方ないと思います。
米朝は人間国宝です。
差別の精神は排除すべきだと思います。
でも、云い換えに意味があるのか、よくわかりません。
マスコミなどが誤解の危険を回避する為に自主規制を引いただけで
云い換えた言葉が侮蔑の意味を帯びてきたら、
また云い換えを考えていくんでしょうか?
小手先のごまかしですよね、そんなの。
>確かサゲが下ネタな落語をやっていて、NHKでも下ネタは
>OKなんだ、と感慨に浸ったことがあります。演目は
>「かえる芝居」と言う題だったかと思います。
かえる芝居、知らないです。
落語(特に上方)にはエロ系も汚い系も下ネタが満載なので、
それらを避けてたら、できるネタがかなり限られそうです。
桂春團治がNHKで「有馬小便」をやった音源が残ってて
「NHKでこんなネタをやるのは私くらいなもんですわ。」
って云ってるんですが、他にもいたんですね(笑)。
投稿: しほたつ | 2008/10/16 13:09