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2011/06/30

二つの新解さん。

ご存じな方はご存知な「新解さん」。
新明解国語辞典の事を敬愛を込めてそう呼びます。

この辞書はポピュラーな辞書でありながら、
内容的にあまりポピュラーではない妙な個性が光っていて、
それにメスを入れたのが赤瀬川原平の「新解さんの謎」。

これを10年くらい前に読んだ時は面白くて面白くて溜まりませんでした。
赤瀬川原平の本はどれも脳みその隅を擽られるような快感がありますが、
この本だけはもっとストレートな笑いに繋がる面白さがありました。

で、調べてみたら他にも「新解さんの読み方」なる本が出ていることを
つい最近知りました。
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二匹目のどじょうを誰かが狙ったのかと思いきや、
「新解さんの謎」にも登場するSM嬢こと夏石鈴子が書いたものでした。
いわば新解さんのケッタイさに最初に気付いたオーソリティの作品。


期待して読みました。

ところが…。

そこそこ面白いんですが、どうもイマイチしっくりきません…。
初めて「新解さんの謎」に出くわした時の様な驚きがなくなってるからかもしれない。
「辞書なのに何やら人格が滲みだしてきているぞ。」って新鮮な感動はなくなり、
「新解さんは変わってる。」って前提で読み進めてしまうせいか、
かなり変な例文を示されても「新解さんらしいや。」と妙に納得してしまうんですね。

最初からこのネタは微妙なバランスの上に立ってたんだなと思いました。


とは云え、赤瀬川原平の切り口と夏石鈴子の切り口とでは
やっぱり鋭さが違う様な気がします。

例えばまちのヘンなものを見つけても、
それをVOWの様な下世話なネタに仕上げる人もいれば、
みうらじゅんのスライドショーみたいにサブカル色に仕上げる人もいます。
赤瀬川原平は鋭い感性でそれを芸術の域にまで高めつつも、
それでいて肩肘を張らない平易な文章で書き綴ります。

「新解さんの謎」も理屈っぽくなりすぎず、ネタの羅列に陥らず、
新解さんのヘンさ加減を浮き彫りにする絶妙の仕上がりになってるのです。

何だか「新解さんの読み方」を悪く書いてしまった気もしますが、
最近読んだ本の中では面白かった方だったんですよね。
私にとって赤瀬川原平がとてつもなく高い位置にあるので、
比較するとこうなっちゃったのでした。すみません。

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コメント

私もかつて、ご両人の新解さん本を読んだことのある者です。
拝読して、我が意を得たりという想いです。(^ァ^)
ライト感覚で愉しい赤瀬川作品が、それでいて実はどれほど高い域に達していたかってことですね。

投稿: もとよし | 2011/06/30 16:25

■もとよしさん

書き込みありがとうございます。
勝手な事を書きましたが、
ニュアンスを汲みとっていただけて
良かったです。
赤瀬川原平の文章って分かりやすくて奥が深いですよね。

新解さんの第四版、第五版の一刷を探してますが
なかなかないものですね。

投稿: しほたつ | 2011/07/02 03:29

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