性的人間/大江健三郎
大江健三郎の「性的人間」には短編が三本収められています。
「性的人間」
「セヴンティーン」
「不満足」
調べてみたら、文庫版では最後の一作が
「共同生活」
に置き換わっているようです。
理由は差別的な内容だからでしょう。
1960年代の世相がどうだったか、私には分かりませんが、
どれもかなりの問題作だったようです。
「性的人間」はタイトル通りです。物語の前半と後半で展開が完全に分かれる。
前半は漁村近くの別荘での乱行、
後半は東京での痴漢仲間の話。
インモラルなテーマだがドロドロ感は薄い。
表題作よりも「セヴンティーン」が印象的でした。
多感で傷つきやすい時期の少年が劣等感や孤立感に苛まれ、
ふとしたきっかけで右寄りの活動にのめり込んでいく。
三島由紀夫を彷彿とさせる主人公だったので、
ネットで調べてみたら、モデルは別人でした。
この物語には続編があるのですが、
1961年の発表後、発禁状態になっていて、
2018年にやっと全集に収められたらしい。
単行本の三作目の「不満足」は
精神科病院から逃げ出した患者を
捜索する三人の青年の話。
今ではアウトな差別的表現がバンバン出てくる。
大江健三郎はずっと敬遠してましたが、
今回読んだ三作品について云うと、
思っていたような難しさはない替わりに
当時の思想や風潮がベースになっていて、
理解できない部分が多かった気がします。
私も60年代の生まれではありますが、
記憶にあるのは70年代以降ですし、
大学の頃はもう学生運動など過去のものでした。
時代の移り変わりで小説が古くなるのは
仕方ない事ではありますが、
古くても読み継がれている作品もある訳で、
そう云った意味では、これらの作品は、
時代を切り取りすぎていて、
今ではその価値が失われているのかもね。

他の作品も読んでみたいと思います。
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コメント
大江健三郎、なんかコワくて手を出したことがありませんでした。
これからも読まないかもしれない。
古い作品が全て良作とは限らないですもんね。
その当時を探るよすがにはなるでしょうけど。
投稿: Salty | 2024/08/28 01:03
■Saltyさん
昔、学校で文学作品のタイトルと著者を憶えましたが、
読んだものは殆どありませんでした。
それもなんだかなと思って
大江健三郎の変なタイトルの本に手を出したのですが、
思った以上に刺激的な内容だったので、
それなりには楽しめましたよ。
無理に文豪の作品を読む必要はないですし、
代表作だけ"押さえておく"のも変な話。
教養だと思って読まれるようになったら、
小説もおしまいだと思います。
楽しんで読むのが一番です。
投稿: しほたつ | 2024/08/30 13:25