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2024/12/25

読書熱 2024年12月

12月は小説以外の本が増えました。

■小鳥、来る/山下澄人
■鳥を識る/細川博昭
■緑のさる/山下澄人
■第四間氷期/安部公房
■鳥を読む/細川博昭
■アレックスと私/アイリーンMペパーバーグ
■インコの心理がわかる本/細川博昭

まず、山下澄人が二冊。
好きだから読んでいるんではなく、
合わないなぁと思いつつ、
それを確かめるために読んでみた感じ。
最初に読んだのは「しんせかい」で
小説として成立するギリギリな感じが印象的でした。
その後「ルンタ」を読みかけて途中でやめました。
山下澄人は難解だという人をネットでも見かけますが、
難解と云うより、人に伝えようとしていない気がします。
筆者の頭や心の中のものを文章にするのももどかしいのか
ぽんぽんと話は飛ぶし、時間の流れも分かりにくいし、
どんな場面なのか見失うし、
気を抜くと何も分からなくなります。
それをどう感じるかで好き嫌いが大きく分かれるかと。
私は合わないなぁと思いつつ、合わない事を確認するために
数冊を読みました。そして、合わないと確信した次第です。

一方、難解かもしれないけど安部公房は好きな作家。
この「第四間氷期」は大学生の頃に一度読みました。
当然の如く何も覚えていませんでした(笑)。
SF作品なので安部公房の中でも読みやすい一作。
未来を予知できるコンピュータに携わる主人公が
とんでもない事に巻き込まれていくんですが、
ネタばれになるので省略します。

その他は鳥関係の本です。
「鳥を識る」と「鳥を読む」と
「インコの心理がわかる本」の著者は細川博昭。
ウィキでは鳥研究家と紹介されています。
鳥の本を沢山書いていて、
私がパリちゃんを飼い始めた時に買った
「オカメインコとともに」もこの人の本でした。
鳥の研究者ではなく研究家なので、
学術的なデータを元にしながらも、
かみ砕いて分かりやすく、面白く、纏めてます。
「識る」の方は鳥の進化や生態が中心。
「読む」は人間と鳥のかかわりが中心。
「インコの心理がわかる本」はもっと砕けた内容。
個人的には「識る」が興味深かったです。
特に鳥の知能や感情の話は一読の価値ありです。
一般的にカラスは頭がいいと認識されているけれど、
小鳥は何も考えていないと思われがちです。
インコやオウムは言葉を喋るけれど、
単に音を真似をしているだけ…、
正にオウム返しに過ぎないと。
小さな脳みそはオートマトン(機械的な条件反射)にしか
使われていないんだと。
でもそうじゃない。ちゃんと考えているんです。
オカメインコは三歳児並みの知能があると云われます。
犬も賢いけれど、タイプが違うと著者は云ってます。
頭のいい大型のオウムに至っては、犬より賢い。
研究のために大学で飼われていたヨウムのアレックスは
とんでもない知能と豊かな感情を持っていたらしい。

で、「アレックスと私」も読んでみました。
アレックスを三十年に渡って研究した博士の自叙伝。
当時、動物実験ではオペラント条件付けによって
学習させていくのが一般的だったらしいのですが、
飴と鞭による反復学習では社会的行動の観察はできないと考え、
アレックスやその他のヨウムの研究においては
モデル/ライバル法と云う手法を用いたのだそう。
これによりアレックスは言葉を覚えるだけでなく、
その意味合いも理解し、表現できるようになったらしい。
アレックスの能力についてはこの本を読むまでもなく
ちょっと検索すれば色々な情報が出てきますが、
この本の素晴らしさは正に"アレックス"と"私"の関係を
リアルに描いているところにあると思います。
素晴らしい本でした。

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