長らく更新していなかったので、
4月以降読んだ本を纏めてアップします。
■可燃物/米澤穂信
葛警部が事件を解いていく連作短編。
米澤穂信らしいなと思ったのは連続殺人や
凶悪犯罪を派手に解決していく展開ではない事。
表題作の可燃物がその象徴的な作品だと思います。
ある町のゴミ捨て場で起こった連続ボヤ騒ぎ。
犯人は燃えるゴミの日を狙っているのだが、
新聞や雑誌の束も捨てられているのに、
なぜか水分が多く燃えにくい生ごみの袋に火を点けている。
しかもある日を境にぱったりと止んだ。
警察の張り込みがバレたのか…。
葛警部が突き止めた事件の真相は…。
気になるでしょ?
身近に起こってもおかしくない、
現代社会の歪みのような犯罪を取り上げているところが
実にリアルだと思うのです。
設定や雰囲気は全く違うのですが、
古典部シリーズに通じるモノがあるような気がします。
■シャーロックホームズの凱旋/森見登美彦
図書館では300人待ちの状態だったので、買いました。
正に森見登美彦ワールド。
シャーロックホームズなのに舞台は京都。
これまで森見登美彦の作品を読んだ事がない人が
いきなりこの本を読んだら、面食らうでしょうね。
最初のうちは単に地名を置き換えただけ思えますが、
竹林の幽玄な描写が出てくる辺りから必然性が出てきます。
そして後半は一気に…。ネタバレになるので割愛。
天狗や詭弁論部がチラッと出てくる辺りはお遊びか。
これまでの森見作品の中でも骨格のしっかりした作品。
決して謎解きの物語ではありませんのでご注意を。
■隠蔽捜査/今野敏
友達に薦められたので読んでみました。
警察の隠蔽体質にメスを入れた作品。
組織のギスギスした感じは横山秀夫に通じる。
主人公はかなりの堅物で変わり者です。
正義感は強いが、考え方が古く頑固。
最初のうちは嫌なヤツに映りますが、
物語が進みにつれて、彼の正義感が頼もしく思えてきます。
現時点でシリーズ10作まで出ているらしい。
主人公は丸くなっていくんだろうか?
気になるので次の作品も読んでみたいと思います。
■正欲/朝井リョウ
柴田錬三郎賞受賞で映画にもなった作品との事。
一つ前の「スター」は私の好みではなかったんですが、
「正欲」は正に朝井リョウの真骨頂って感じの秀作でした。
世の中の"多様性への理解"の風潮に対して、
かなり斜めから斬り込んでいます。
きらきらした比喩表現がむず痒いところもありますが、
逆に凄いと思う比喩表現も随所に出てきます。
登場人物の中では神戸八重子がいい役割を果たしている。
■52ヘルツのクジラたち/町田そのこ
本屋大賞受賞&映画化の人気作品。
町田そのこを読むのは初めてですが、
なかなかのストーリーテラーだなと思いました。
やや過剰な起伏付けが気になるところもありますが、
映像化まで考えると、こう云う味付けになってくるのかな。
ちなみに同時に借りた「コンビニ兄弟」は私には合わなかった。
キャラ付けがマンガ的。途中で挫折…。
■隠蔽捜査2 果断/今野敏
一作目よりも面白かったです。
主人公の竜崎は変わり者だけどカッコいい。
正しいと思ったら、上の人間にも忖度なく意見するし、
自分が不利になる事でも保身に走る事はない。
二作目は降格人事で赴任した大森署での話。
強盗事件が発生し、犯人が逃亡。
緊急配備を敷くが一人を逃してしまう。
そいつは拳銃を所持していて、
小料理屋の夫婦を人質に立てこもる。
現場の指揮を取った竜崎はSATに発砲許可を出す。
結果、犯人は射殺されてしまった。
しかし、犯人の拳銃に弾丸が残っていなかった事が判明。
主人公の責任が追及される…、って展開。
■隠蔽捜査3 疑心/今野敏
三作目はアメリカ大統領来日の警備とテロの話。
やや展開は強引な気もするけど、面白かった。
堅物の竜崎の色恋が絡んでくるのは意外でした。
■一線の湖/砥上裕將
水墨画を題材にした珍しい作品。
「線は、僕を描く」の続編とは知らず、
二作目から読んでしまいました。
でも、独立した作品として十分読める内容。
冒頭の揮毫会での失敗シーンで一気に物語に嵌り込んだ。
水墨画を描くシーンでは筆運びや墨のコントロールなど
専門的な技法と心理描写が数ページに渡って展開されますが、
門外漢の私でも読みながらドキドキしてしまうのです。
自分の中では写真に通じるところもあるかなと思いつつ読んだ。
対象物や構図を頭の中で捏ね繰り回しているうちは
まだまだなんだなと気づかされました。
■おやすみラフマニノフ/中山七里
「さよならドビュッシー」の続編です。
このシリーズ、スピンオフ以外で八作も出ているようです。
この作家、どんでん返しの帝王と呼ばれているそうです。
「ドビュッシー」はなかなか鮮やかなラストでしたが、
「ラフマニノフ」は中盤でほぼ展開が読めました。
そんな異名を付けられてしまうと、
読み手も勘繰りながら読んじゃうよ(笑)。
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