読書熱8~9月
読書のペースは少し落ちていますが、
それなりに読んでいます。
二ヶ月纏めての備忘録。
■隠蔽捜査9探花/今野敏
やや惰性で読んでる感じはしますが、
読みだすと楽しめるのがこのシリーズです。
今回は米軍の横須賀基地近くで起こった殺人事件。
竜崎の指揮の下、通常ならありえない日米合同捜査が始まる。
登場人物の性格も行動パターンも分かっているので
最初の頃のような意外性は薄くなってるかもね。
■ナイルパーチの女子会/柚木麻子
一流商社に勤める栄利子は
ぐうたら主婦翔子のブログを愛読しています。
アップされる情報からご近所さんである事が判明。
二人は出会って意気投合します。
明るく楽しい展開になるのかと思いきや…。
いやー、怖い話でした。
栄利子と翔子の内面がリアルに描かれています。
特に栄利子の思考回路が異常過ぎて恐ろしい。
中盤は読むのが嫌になるくらいでした。
不幸のどん底まで落ちていくのか、
それとも明るい兆しが見えてくるのか、
どちらにでも転びそうな展開で、気が気じゃなかった。
■赤ひげ診療譚/山本周五郎
図書館で本を借りる基準として、
山本周五郎賞の受賞作品はハズレが少ないので
受賞作やノミネート作から選ぶ事が多いです。
でも考えてみたら山本周五郎の作品を読んだ事がない。
って事で、代表作の一つを読んでみました。
江戸時代、長崎で医学を学んだ保本登が主人公。
エリート意識が強い彼が江戸に戻って配属されたのが
小石川療養所。
貧しい人々のために幕府が開いた医療施設です。
納得できない彼はここに馴染もうとせず、転属を希望。
そんな彼を変えていったのが診療所の医院長新出去定。
通称赤ひげ。
主人公は医療を通じて貧しい人々と接する赤ひげと
行動を共にするうちに医療のあるべき姿に気付いていく。
感動的な作品ではあるが、人情噺のような語り口がいい。
■寝ぼけ署長/山本周五郎
山本周五郎の現代作品。
赤ひげにも共通する博愛心に溢れている。
最近の英国ミステリーやシビアな警察小説に慣れていると
古さやヌルさ感じはする。
トリックについてはまるで昔の「あなたは名探偵」レベル。
しかし、これも人情噺的な読み物と思えば、
気持ちのいい作品だと思います。
■オデッサファイル/フレデリックフォーサイス
寝ぼけ署長の後に読む本じゃないですね。
第二次世界大戦時、ユダヤ人を大量に虐殺したナチス。
その幹部たちは戦後のどさくさに紛れて逃亡し、
名前を変えて、今ものうのうと生きている。
一人のルポライターが強制収容所司令官を追って
死の危険が及ぶところにまで足を踏み入れていく。
前半の自殺したユダヤ人の手記の内容が生々しい。
NHKの映像の世紀を観た時の衝撃が蘇りました。
■さぶ/山本周五郎
江戸の町を舞台にして、二人の職人の友情を描いた物語。
タイトルは"さぶ"だが、栄二を中心に展開していく。
栄二は馴染みの商人から無実の罪をきせられる。
心を閉ざした栄二が黙秘を続けたため、
最後には人足寄場に送られてしまう。
話の大半がこの中で展開します。
彼をこんな目に合わせた連中への復讐心に燃えていた栄二が
次第に考えを改めていくんですね。
映画化されていますが、栄二が藤原竜也、さぶが妻夫木聡。
原作先行の人は全くイメージが違ったんじゃないかなー。
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コメント
ようやく私も読んだことのある本が(笑)
山本周五郎はいっときハマり、旧西宮図書館でたくさん借りました。
時代物は制約がある分、細やかな心理描写が生きるのが好みでした。
投稿: Salty | 2025/09/26 22:45
■Saltyさん
時代小説の中でも戦記物は苦手で
どちらかと云うと江戸の人情モノが好みです。
それほど読んでませんが。
山本周五郎のおすすめがあったら教えてください。
投稿: しほたつ | 2025/09/29 17:10