SONGS/西山瞳

彼女のオリジナル曲を全曲ソロピアノで。
デビューからずっと聴き続けているので
私にとっても二十年の累積。
感慨深さは半端じゃない。
選曲にあたっては、ファンのリクエストを
参考にしたようです。
比較的演奏を短めに纏めているのは、
なるべく収録曲を増やすためでしょう。
また、初期の曲が多いのは
廃盤になっている作品にも
スポットライトを当てる目的もあった様子。
"Blue Nowhere"の冒頭で凝った展開にしている以外は
原曲とのイメージ通りの演奏のように思います。
西山瞳の曲はソロピアノで聴くと
純度が高まる感じがしますね。
個人的には"Aprilis"を聴くと、
なんか泣きそうになるんですよね。
収録されているのは2008年の「Parallax」ですが、
実際には自主制作一作目の頃の作品。
2005年に横浜ジャズコンペティションで優勝して
受賞直後のランドマークプラザでのステージで
この"Aprilis"を演ったんですよね。
一般的にジャズっぽいと云われる曲ではなく
キラキラしたメジャーなメロディなんですけど、
スッと短調が翳りを落とすんですね。
その繊細な濃淡を感じ取るのに、
吹き抜けのランドマークプラザは騒々し過ぎました。
ノリのいいジャズを期待していた人には
きっと合わなかっただろうなと思います。
ざわざわとした中で自分のスタイルを崩さず
弱音からスタートして全体のインプロヴィゼーションを
組み上げていく彼女のトリオの演奏を
理解できなかった人と引き込まれていった人が
大きく分かれた気がします。
この「Songs」についても同じ事が云えるかもしれません。
ぜひBGMではなく、じっくり耳を傾けて欲しいなぁと思います。
世の中はCDを買って聴く時代ではなくなりました。
今年の高槻ジャズのステージでも彼女はこんな事を云ってました。
「(前作の)『DOT』と『ECHO』が最後のCDになると思って
好きなようにやらしてもらった。」
だから、今回「SONGS」が発売されたのは驚きでした。
けど、逆に云うと、集大成のような作品が出たことで
本当にこれでCDはおしまいなのかなと、寂しい気持ちもちょっと…。
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